◇2018/2/22 平成29年12月定例会での一般質問の詳細

 

こんにちは、高田ひろきです!

   

12月定例会の議事録が越前町のウェブサイトに公開されています。

 

私の一般質問箇所(一部改行等を行っています)を以下に転載しました。

 

テーマは、「児童生徒における情報教育とICTの活用について」と「教員の多忙化解消に向けての取り組みについて」の2題でした。

 

長文ですが読んでいただけると幸いです。

 

 



平成29年12月定例会(12月12日)一般質問の詳細

 

 

○1番(髙田浩樹君) 議長のお許しをいただきましたので、通告書に基づき、一般質問をさせていただきます。

 

最初に、児童生徒の情報教育とICTの活用について、大きく3つのことについてお伺いします。

 

1つ目です。

ICT、情報通信技術は飛躍的な発展を遂げ、機器の取り扱いも容易になりました。現在、子どもたちは膨大な情報にアクセス可能であり、多くの人たちに向けて情報発信も可能な状況にあります。インターネットで得ることができる情報量は膨大でありますが、その質は玉石混交であり、デマやガセ、ミスリード、誹謗中傷などといった表現も多くあります。ネットで不用意に情報発信することで、それが拡散され、非難が殺到し、収拾がつかなくなるいわゆる炎上といった現象も起こり得ます。

このようなことから、早期の段階から情報を見きわめる力、目的に応じて情報を活用する能力、また適切な情報発信などの情報リテラシー等について学ぶことが重要であります。

 そこで、小中学校の児童生徒の情報リテラシー等における教育の現状について教育長にお伺いいたします。

 

2つ目です。

情報通信技術の進展により、コミュニケーション手段も多様化され、現在では、LINE、ツイッターなどのSNSを使用してのコミュニケーションも盛んになりました。便利になった半面、ネットを使用したいじめもあり、いじめ防止対策推進法では、ネットを通じて行われるいじめへの対策についても定められています。ネットによるいじめは、匿名性や閉鎖性といった特性から、加害者にも被害者にもなりやすく、また最新のツールについては、子どもたちのほうが詳しい場合があることから、学校や親が気づきにくい傾向にあり、問題の発見や対策がおくれるといった懸念があります。

また、SNSで誰かとつながっていることで安心感を得たり、オンラインゲームで他者から称賛されるといった経験は、子どもたちの場合、脳の発達段階などを鑑みますと、嗜癖化しやすく、ネット依存が形成されやすいとの専門家による指摘もあります。

SNSを利用した事件では、座間市で起きた余りにも陰惨な事件がありました。県内では、自画撮り事件だけでも今年3件あり、いずれもSNSで知り合っています。ほかにも、多くのネットを通じた事件が散見されていますが、世に出ていないもの、事件の一歩手前のようなものも含めれば、かなりの数になることが予想されます。また、これら以外にも、個人情報の流出、思いがけない代金の請求など、多岐にわたるトラブルがあります。

そこで、小中学校の児童生徒のネットトラブル等の現状、また、これらの対策、特に情報モラル教育の取り組みについてお伺いいたします。

 

3つ目です。

「教育の情報化ビジョン」、「第2期教育振興基本計画」、「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会」、「平成28年7月の最終まとめ」には、教育現場でのICT機器の整備や活用、方向性等について示されていますが、越前町の小中学校におけるICT機器の整備状況、ICT活用の現状について、また校務支援などの活用も含め、見えてきた課題、今後の展開について教育長にお伺いいたします。

 

 

次の質問です。

教員の多忙化解消に向けての取り組みについてお伺いいたします。今年4月に文部科学省より発表がありました。「小中学校の教員を対象に行われた教員勤務実態調査(平成28年度の集計)」によりますと、1週間当たりの学内総勤務時間は平成18年度と比べ増加しており、また、小学校教諭の3割以上が中学校教諭の6割近くが過労死ラインに相当する週60時間以上の勤務をしていたことが明らかになりました。これに、持ち帰り業務時間を加えると、この割合はさらに上がることになります。

 

学校教育は授業中心に成り立ち、それを担っているのが教員であります。授業を行うためには、教材研究等を含めた授業の準備も重要です。平成27年に、HATOプロジェクトで全国の公立小学校・中学校・高校の教員を対象に行われた「教員の仕事と意識に関する調査」では、教員の悩みのトップは、小中高いずれにおいても、「授業の準備をする時間が足りない」でありました。

平成29年3月に公示された学習指導要領の改訂では、小中学校で道徳の教科化、小学校で英語の教科化やプログラミング教育の必修化、そして年間の総授業時間数の増加などの変革があり、県独自の取り組みなども含め、教員が担う授業が、質量ともに増加傾向にあると言えます。

 

また、学校現場では、子どもたちの育成のため、それぞれの個性を捉え、適切に対応していくことが重要でありますが、そのためには、子どもたち一人一人と向き合うための時間が確保できること、また、教員の心身が健康であることが重要であります。

 

平成25年3月の「教職員のメンタルヘルス対策最終まとめ」では、教職員のメンタルヘルス不調の背景等として、「業務量の増加及び業務の質の困難化」があり、対策として「業務の縮減、効率化」等を挙げています。

つまり、よりよい授業のため、教員が子どもたちと向き合うため、心身が健康であるため、そして子どもたちの未来のため、教員の多忙化解消に向けての取り組みが重要だと考えます。

 

そこで、小中学校の教員の勤務実態と把握のあり方、また実態に対してどのように分析や評価されているのかについてお伺いいたします。また、教員の多忙化解消に向けての現在の取り組み内容と、その中で特に重視していること、取り組みの中で見えてきた課題や今後の展開について、教育長にお伺いいたします。

 

 

○議長(北島忠幸君) 教育長。

 

教育長(久保理惠子君)登壇

 

 

○教育長(久保理惠子君)それでは、髙田議員のご質問についてお答えいたします。

 

最初に、児童生徒における情報教育とICTの活用についてですが、情報教育とは、情報モラルを含めて子どもたちの情報活用能力の育成を図るものです。

中学校では、技術家庭科、高校では情報科のように、情報教育を専門に担う教科がありますが、小学校では、そのような教科はなく、情報手段になれ親しみ、適切に活用する学習活動として総合的な学習の時間や社会科、理科の調べ学習等で文字入力から活用までを情報モラル教材を利用しながら指導しております。また、情報モラルにつきましては、道徳の授業でも発達段階に応じて触れております。

 

中学校では、技術家庭科の授業で情報活用の実践とともに、情報ネットワークの危険性、利用するときのモラルや人権や個人情報の保護など、学習をしております。また、技術家庭科以外でも、生徒はパソコンを活用して学習する機会が多くあります。将来、子どもたちが活躍する社会が急速な情報化や技術革新により、高度情報化社会となることを見据えて、新しい学習指導要領では、小学校卒業時に、基本的な操作を確実に身につけるということを目指し、中学校の国語科、社会科、数学科などでも、それを踏まえた学習内容が盛り込まれております。

 

次に、越前町の児童生徒の携帯やスマートフォンの所持率ですが、4月の全国学力学習状況調査によりますと、小学校6年生の児童の約54%、さらに中学生になりますと、中学3年生で約80%の生徒が所持しているという結果でした。この結果は、県や全国の所持率と比べて若干低いものの、大きな差はありません。

 

インターネットやSNS上のトラブルにつきましては、学校では、アンケートや直接児童・生徒・保護者等からの情報提供をもとに把握し、対策会議を開き、学校全体で解決に取り組んでおります。

 

昨年度の全国の調査によりますと、小学生から高校生までで、パソコンや携帯電話等で誹謗・中傷や嫌なことをされるという事案が全体で1万783件あり、年々増加の傾向にあるそうです。

越前町では、今年度4月から11月までで、中学校で4件、小学校で2件のトラブルに対応したという学校からの報告がありました。これらの未然防止の対策としまして、学校では、先ほど申し上げました情報モラル教育のほかに、外部講師による非行防止教室や保護者対象の講演会等を行っております。また、機器の扱い方の約束事として、生徒会やPTAと話し合って決めた「ふくいスマートルール」というものや学校便りなどで、家庭に協力を求めております。

 

しかしながら、子どもたちは保護者の判断と責任のもとで携帯電話やスマートフォンを持ち、学校生活以外の場所や時間帯で使用しておりますので、学校での取り組みとともに、家族でよく話し合うなど、家庭での教育に期待するところであります。

 

次に、越前町の各学校のICT機器の整備状況ですが、主なものとして、授業で使用する電子黒板、それからデジタル教科書、小学校では国語と算数、中学校では理科とか英語のデジタル教科書です。それから書画カメラ、プロジェクター等があり、パソコン室には、児童生徒用のパソコン、プリンターがあります。また、遠隔授業研修システム2台が導入され、昨年度からパソコンの更新に合わせて計画的にタブレット、無線LAN機器(クラス数分)を導入しております。さらに、職員室には、教師の校務用パソコン、プリンターがあります。

 

ICT活用の現状ですが、教師がわかりやすくよりよい授業を行うための授業での活用のほかに、学習発表会や学校行事等での活用、またテレビ会議室システムを使った小規模校同士のつながる授業SS連携などを行っております。

 

教員は、遠隔授業研修システムで、県内の学校や教育研究所と学校の垣根を越えて授業の交流や研修を行い、また、パソコンを利用して、教材づくり、成績処理、文書作成等多くの校務を行っております。教員にとってパソコンは欠かせないものとなっております。今後は、校務の効率化とセキュリティー強化のため、校務支援システムの導入も考えております。

 

最後に、課題としましては、教員が日常的にICTを活用できる環境整備の充実、さらに有効な活用方法の研究、そして教員の活用力向上などが挙げられます。ICT環境整備の推進は、今後の子どもたちの学びの充実のために大変重要でありますが、多くの予算が必要ですので、計画的に進めてまいります。

また、教員の活用力向上につきましても、町全体で取り組めるよう支援していきたいと考えております。

 

 

次に、教員の多忙化解消に向けての取り組みについてですが、本来、子どもの教育は、学校、家庭、地域社会がそれぞれの役割を担い、一体となって取り組むものですが、社会の著しい変化に伴い、学校が担う役割が今まで以上に拡大しております。

また、生徒指導上の問題も多様化、困難化し、その解決のための会議等の時間も増加しております。それに加えて、新学習指導要領の対応や個に応じた支援指導、地域との体験学習、保育所、小学校、中学校、高校との連携教育等々、学校教育への要求が年々高まっております。

そのような中、教員の本来の業務である児童生徒の指導に専念する時間の不足や長時間勤務という状況が生まれてきております。そこで、教員の業務を見直し、勤務時間の適正化を図ることによって、教員が子どもたちとしっかり向き合い授業改善等に取り組み、教育の質をより高めていくことが課題となっております。

 

教員の勤務実態の把握は、毎月各学校から提出される勤務状況の記録で行っております。月によっては長時間勤務になる教員もおりますので、そういった教職員には管理職が面談し、指導、助言を行っております。

 

また、現在、教育委員会では、教員の多忙化解消と勤務時間の適正化に向けて、次の4項目を中心に取り組んでおります。

まず1点目は、人的な支援と組織的な取り組みです。2点目は、教員一人一人の意識の高揚、そして3点目は研修の見直し、最後に4点目は、教職員の健康管理です。

 

まず、1点目の人的な支援と組織的な取り組みでは、複式学級解消のための講師の配置を初め、外国語活動等においてのALT地域人材、個に応じた教育の充実のための通級指導講師や生活支援員、スクールカウンセラーの配置等、人的な支援を現在行っております。

また、授業改善のためのプロジェクトチームや問題解決に向けて関係機関等と連携するなど、組織的に対応することによって教員一人一人の負担軽減を図っております。

 

2点目の教職員一人一人の意識の高揚については、各学校の取り組み以外に、指導主事の学校訪問で学校や教員一人一人が現状を認識し、どう改善していくかを考え、例えば会議の終了時刻を決めて効率化を図るなどの具体的な取り組みにつながるよう、働きかけを行っております。

 

3点目の研修の見直しにつきましては、内容が重複するような研修は削減し、継続する場合も目的を明確にし、対象者を絞って実施するなど、精選をしております。

 

4点目の教職員の健康管理では、全職員を対象にストレスチェックを実施し、心の健康にも気をつけております。

 

今後の課題と対策としましては、家庭、学校、地域社会が担う役割を見直し改善すること、部活動指導員や学校運営支援員の増員と、その人材確保、それから校務支援システム導入で校務の効率化を図り、子どもと向き合う時間を確保すること、その他問題の未然防止、教職員のメンタルヘルス、新教育課程対応等たくさんありますが、中長期的な視点や早急に取り組むべき課題等を整理し、総合的な業務改善のための方針を検討してまいりたいと考えております。

 

今後も、教員が本来の業務に専念でき、心身ともに健康で誇りと情熱を持って子どもたちとかかわることができるよう支援してまいりますので、どうぞご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げまして、髙田議員の一般質問に対する答弁とさせていただきます。

以上です。

 

 

○議長(北島忠幸君) 髙田浩樹君。

 

 

○1番(髙田浩樹君) 詳細かつ丁寧なるご答弁ありがとうございました。

 

これは、まずお願いなんですけれども、家庭での情報モラル教育のお話がありまして、ただいまのご答弁の中で、学校の取り組みをお聞きしました。家庭での協力が必要だとおっしゃるとおりだとは思うんですけれども、ネットでトラブル等防止するのに、保護者ができる最も有効な手段として、有害サイトや危険性のあるサイトのブロックを行うフィルタリング、また機器の制限があるんですけれども、今年9月に発表された調査で、中学生の親によるスマホのフィルタリング、利用率は48.5%、機能制限は41%と、両方とも半分以下でした。

警察庁の「平成28年におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について」では、コミュニティサイトにおける児童被害の現状として、被害児童のうち約9割がフィルタリングを利用せずとの記載がありました。

また、県の教育委員会でも小・中学校の保護者らにパンフレットを作成し、周知しているとのことではありますが、やはり学校からもう一つ踏み込んで、保護者に対して情報モラルの啓発をしていただきたいと思いますので、お願いいたします。

 

教員の多忙化に向けての取り組みについてですけれども、人的支援と組織的取り組みというような中でいろいろお話がありましたが、特に中学校の教員にとって、部活動の課外活動の指導時間が長いという現状があると思うんですが、今年3月の「学校教育法施行規則」の一部を改正する省令により、外部指導者の活用が以前より弾力性ができつつあると考えられます。今後の外部指導者の活用に対し、教育長のご所見をお伺いいたします。

 

あと、校務支援による事務の効率化というご答弁もありましたが、これまで校務分掌の見直しであったり、事務作業の効率化ということがずっとされてきたことと思います。実際、どれほどの改善の余地があるのか、ご所見を伺いたいです。

あわせて、教員の事務業務の総量の増減の傾向について、教育長にお伺いいたします。

 

 

○議長(北島忠幸君) 教育長。

 

 

○教育長(久保理惠子君)

まず、家庭のそういった情報モラルへの注意喚起、また啓発につきましては、これまで以上にまた積極的に取り組んでまいりたいと思います。

 

また、2点目の部活動指導員につきましても、これも人材確保が一番の課題でありますが、できるだけ学校の要望に応えられるよう努力してまいりたいと考えております。

 

3点目の教員の校務ですが、年々いろいろふえているということは事実ですが、改善も少しずつされております。情報の共有化とかそういうことによって、また学校運営支援員等が配置されることによって、直接子どもにかかわらないような業務については手助けしてもらえるというような配置もされておりますので、そういったことも活用しながら校務をできるだけ改善していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

 

 

○議長(北島忠幸君) 髙田浩樹君。

 

 

○1番(髙田浩樹君)丁寧なご答弁ありがとうございました。

 

これで、3回目なので最後の質問になりますが、池田中学校で男子生徒が自殺した問題を受け、県の教育委員会は、校内での情報共有とチーム学校での指導体制の再構築を進めております。

また県議会では、公教育の見直し、生徒と向き合う時間、そして教員の多忙化などについて議論されております。

教育のあり方が変わりつつある中、教育長として、どうリーダーシップを果たしていくのか、お考えをお伺いいたします。

 

あと、これはお願いですけれども、2020年度から小学校ではプログラミングが必修化されます。これはコーディング技術の習得というより、プログラミング的思考を学ぶことで思考力、判断力、表現力等の資質や能力を育成することが主な目的でありますが、このような教育環境を機会に越前町から情報技術に関して有能な人材を輩出し、いずれは町の発展のため寄与してもらえるよう可能性の芽を育てていくことも重要だと考えております。このような観点からも、情報教育とICTの活用の推進をお願いいたします。

 

 

○議長(北島忠幸君) 教育長。

 

 

○教育長(久保理惠子君)

私も微力ではございますが、越前町の子どもたちのためにというのを第一に考えて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

 

あと、もう1点目、情報化、これはもう時代に当然これからは必要なことですので、また予算も必要ですが、地域格差が出ないよう取り組んでまいりたいと思います。

以上です。

 

 

○議長(北島忠幸君) 髙田浩樹君。

 

 

○1番(髙田浩樹君) 丁寧なご答弁ありがとうございました。

 

小中学校での情報教育とICT活用の推進、教員の多忙化解消の推進をお願いいたしまして、私からの質問を終わります。

ありがとうございました。

 

 

 

出典:平成29年12月 越前町議会定例会 議事録「12月12日_初日_(開会・一般質問・議案上程)」P23~P28